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FOCUS ON CREATOR 001 倉石一樹

2026.03.17

TEXT: ATSUO WATANABE

倉石一樹とA BATHING APE®の密なる関係。2025年秋冬シーズンより始動したBAPE® by KAZUKI KURAISHI KURAISHI PERFORMANCE ALL WEATHER。懐古的な“復刻”を意味するのではなく、リアルクローズを意識した新しいプロダクトの発信。20年以上の時を経て、再び彼が生み出すプロダクトの魅力に迫る。


再び交わるA BATHING APE ®とのクリエイション

—今回は倉石一樹さんへのインタビュー企画なのですが、せっかくなのでA BATING APE®(以下BAPE)以外のこともいろいろ聞きたいと思います。自身の若いときのエピソードとか。まずはBAPEとのコラボレーションについて。そもそも、BAPEと倉石さんとのつながりみたいなところから。ちょっと振り返ってみると、いつぐらいからですか?

倉石(K)「もう昔すぎて記憶が曖昧なんだけど、1996年前後かな(笑)。BAPEは1993年に始まるんだけど、そのとき僕はアメリカに留学中でした。でも、当時の雑誌『CUTiE』や『宝島』の連載ページでNIGOくんや(藤原)ヒロシくんはチェックしていたので、存在も知っていたし、彼らがつくりだすカルチャーがかっこいいなと実感していました」

–若い頃、洋服など実際に影響を受けていたのは?

K「NIGOくんやヒロシくんも当然なんだけど、リアルでいうとシンちゃん(滝沢伸介)かな。親戚というのもあるんだけど、シンちゃんの着こなしは昔からカッコよかった。シンちゃんにお願いして洋服を貰ったり、いろんなはなしをしていて。そうしたら、ヒロシくんとかと知り合いっていうことを知って、えっ!みたいな感じで驚いた。ホント偶然だった(笑)」

–きっかけは滝沢さんなんですね。

K「そう。そこからたくさんの人を紹介してもらって、僕が日本に戻ったときは一緒に知り合いのお店に連れて行ってくれたりして。また、当時ニューヨークに僕が住んでいたので、彼らが来たときは一緒に歩いてまわったり、いろんな場所を案内しました。そういったことを繰り返すうちに自然と距離が近くなったのだと思います」

–留学時代のことって意外と知られていないような?

K「特にはなすような機会もなかったので、まぁ自分からは言わなくてもいいかなと(笑)。アメリカに留学している時期が長くて。ニューヨークにいたときはデザイン関係の専門学校に通っていました。そこでグラフィックも学んだけど、実際に役立ったかと聞かれたら、どうだろうって感じかもしれません」

–そして日本のクリエイターたちと交友関係を深めるうちに、結果としてBAPEで働くことに?

K「そうですね、僕が留学を終えて日本へ帰ってきたときに、漠然とだけどシンちゃんを含めたまわりの知り合いがやっているブランドのどこかで働きたいと思っていました。で、ある日NIGOくんと会ったときに『じゃあウチで働いてみれば』と誘ってもらい、ノーウェア(BAPEの会社)に入れてもらったのです。それが1996年ぐらいのことですね」

–そのあとは? 実際にBAPEに入ってどのようなことをしたのでしょう?

K「当時はそんなに人数もいなかったので、いろいろやりました。でも、以前からデザイン関係の仕事をやりたかったというのもあって、当時のBAPEでグラフィックデザインをしていたスケシンちゃんやマンキーくんの手伝いをすることが多かった。もしくは彼らがやらないグラフィック仕事とか(笑)。そのときに得たものが非常に大きくて。現在でも僕の大切な要素だと思います。そのぐらい彼らのセンスはすごかったし、BAPEのブランディングの独自性も実感できました。結局、6〜7年ぐらいBAPEで働いたと思います」

–BAPEを離れてからは?

K「フリーランスのデザイナーとしてヒロシくんのお手伝いをしたり、adidasやTHE NORTH FACE、KAPPAといった企業のプロダクト・デザインなどを手がけました。いま振り返ると本当に幅広くやったなぁと(笑)。特にヒロシくんとの仕事はデザイン以外でも勉強になることが多く、毎回“なるほど”って感じてましたね。結果的にすごく良い時間を過ごさせてもらいました」

–そして時代は巡り、またBAPEと一緒にモノづくりをすることに。

K「ご縁があって2025年秋冬シーズンからBAPEと僕のコラボレーションプロジェクトを始めることになりました。名前は“BAPE PERFORMANCE ALL WEATHER by KAZUKI KURAISHI”です。長いのでBPAWと略すといいですね。現在のBAPEチームと1年ぐらい時間をかけて、昨シーズンに立ち上がりました」

–BPAWの特徴を教えてください。

K「BAPEのなかでのアウトドア&パフォーマンスみたいな括り方ができるプロダクトを提案できればと。僕が個人的にスノーボードが好きなのもあって、先のデビューシーズン(2025年秋冬)では札幌国際スキー場でローンチイベントを開催しました。現行のBAPEでもスノーボードジャケットは展開しているんだけど、もっとテクニカルで本格的なものを作りたかった。それこそプロのスノーボーダーも満足できるようなクオリティ。そこにBAPEらしいグラフィックやディテールを加えたことで、既存にはないプロダクトの仕上がりになったと思います」

–スノーボード専門のカテゴリーではないですよね?

K「はい、スノーボードやスキーはもちろん、すべてのアウトドアシーンで着られるものを考えています。そして街の生活環境に順応するスペックの提案を意識してデザインしています。日々の生活で何気なく着用できることがBAPEのリアルクローズとしては大前提ですから。とはいえウィンターシーズンはスノーボードで使えるプロダクトが多い。シムスとの共同制作によるスノーボードも展開しています。僕のライフスタイルを鑑みると避けては通れないし、やるなら徹底的にこだわっていきたいなと」

–最新の2026年春夏シーズンについて教えてください。

K「今シーズンは長袖のジャケットやカットソーにショーツを合わせるコーディネイトが特徴です。クラシックな雰囲気だけど素材感やシルエットは現代的というのが気分。BAPEらしいストリートな表情を意識しています。カモフラージュ柄やシャーク仕様などのBAPE特有のディテールを少しアレンジしたデザインもインラインとは異なるポイント。ジャケットにはラミネート加工を施している生地を使用したものもあって、これはもちろん雨も防げるのでスキー場でも、普通に街着としても使えます。薄手の生地感も春夏シーズンらしいと思います」

–フットウェア関連も見所満載かと。

K「昔からBAPEが好きな方だったらピンときそうなMANHUNTブーツやBAPE STAのアップデートモデルをつくりました。温故知新ではないですが、いろいろな楽しみ方ができると思います。シンプルですが、アクセントとして。そういう考えをかたちにしたフットウェアが僕は好きです」

–今後のBPAWについての展開などを教えてください。

K「次の秋冬シーズンはスノーボード想定のプロダクトに加えて、街で着られるアウトドア要素の強いものを展開します。街からキャンプ、街からフェス、そして街からスノーアクティビティという流れをフォローできる。それが僕とBAPEが目指すプロダクトの方向性。デザインにこだわった分、機能面がおろそかになる。それでは意味がない。昨今“機能美”といわれるものは削ぎ落としたソリッドなものと捉えられがちですが、歴史を積み上げた存在感のあるアイコニックな機能美というものがあってもいい。特にアウトドアシーンを想定した場合、その考え方は個性にもつながる。BAPEしかできない次のステップに僕個人としても興味がつきません」

【Kazuki Kuraishi 倉石一樹】
1975 年東京生まれ。高校卒業後、スノーボードや自転車でのコロラド留学を経た後、グラフィックアートを学ぶためにニューヨークへ。帰国後は、ファッションをメインにブランドディレクター、グラフィックアーティストとして活躍。ファッションではこれまでに「adidas Originals」「CASHCA」「KAPPA」などでクリエイティブディレクターとして活躍。交友関係も多岐にわたり、 イアン・ブラウンやトミー・ゲレロのアルバムジャケットも手掛けている。また、2012 年には自身が集積したアイテムアーカイヴを紹介した書籍「ODDS and ENDS」を上梓。現在は自身 のファッション・レーベル《A.FOUR Labs》, アートディレクター永戸鉄也氏との《DUSTNATION》, UNKLE のJames Lavelle と《Studio Ar.Mour》を展開中。他に2018 年春夏シーズンから 《THE NORTH FACE》のアジアより発信するグローバルデザイン企画のデザイナーに就任。さらに2021/22 シーズンから始動した《DESCENTE》のスノーボード/ フリースキーのデザインを担当。 音楽面ではdelofamilia で活躍をするNAOTO とともに、バンドIS and ISM でも活躍中。 https://fawa.jp

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